ドクター・フーで英語の壁殴り中

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Doctor Who and the Genesis of the Daleks

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 

Doctor Who and the Genesis of the Daleks

Doctor Who and the Genesis of the Daleks

 

 あらすじ

トランスマットでターディスを停めている宇宙ステーションに移動中、ドクターとサラとハリーはタイムロードによってダーレク誕生前夜スカロに送り込まれ、ダーレク誕生を阻止するかもしくは今のように攻撃的にならないようになんらかの手を打つという任務を言い渡される。

 

ドクター達はカレド族とサール族の戦場の真っ只中で攻撃に巻き込まれ、ドクターとハリーはカレド族の捕虜に、サラはサール族の捕虜に。ドクターはカレド族の科学者の一人ローランドからダブロスのダーレク開発実験に対する懸念をきかされ、ダブロスの研究をとめるべきだとカレド族の政府に伝えて欲しいと頼まれる。一方、サラはサール族がカレド族を滅ぼすために建造している爆弾の製造に駆り出される。そこでダブロスのダーレク実験の失敗作として野に捨てられたミュータントのサブリンと同じく捕虜となっていたカレド族の兵士と共謀し脱走を試みる。

 

感想

不干渉をルールとしながらドクターにダーレク誕生を阻止する任務を押し付けるタイムロードのお偉いさん。ダーレクが巻き起こす悲劇を熟知しているからこそ引き受けてしまうドクター。とはいえ、スカロに無理やり送り込まれているし、ターディスからは引き離されているし、大変な任務なのにバックアップも送らずドクターに一人にやらせるなんて、タイムロードのお偉いさんたちって本当に非情で無責任と初っ端から腹が立ってしまう。サール族も、1000年以上続いた戦争で荒んでいたとはいえ、やることかんらいエグい。前に8thドクターがサール族の生存者に自分たちが戦闘に特化していく種族になったのがドクターのせいだと責めるシーンがあったけれど、この時のことを言っているなら、言いがかりもいいところな気がする。ダブロスの暴走を許してしまう下地はあったとはいえ、カレド族もダーレク誕生を懸命に止めようとしていたというくだりは、はっとさせられたというか、なかなかショッキングだった。そういう動きがカレド族にあったとそれまで考えもしなかった。ダブロスも結局のところしっぺ返しをくらうわけだけれども、その後々に起こることを思えば素直に喜べないし。

ダーレクの誕生を完全に阻止する機会は何度か訪れるけれども、そのたびにドクターが「自分にそんな権利があるのか」とひどく悩むので、結局その機会は流れていってしまう。サラ・ジェーン・スミスさえドクターのためらいにショックを受け、なぜダーレクを滅ぼすのをためらうのか苛立ちさえする。これは読みながら、確かにどうするべきなのか悩まずにはいられない。”ダーレクが存在することよって生まれた良いこともたくさんある。ダーレクを消すことはそこから生まれた良いことも消し去ることになる”というドクターの言葉は重い。確かにダーレクがもたらした悲劇によって生まれた愛や友情、モラルの再確認もあっただろう。”最悪”に立ち向かうこと、省みることで生まれた"

善”、一瞬の改心など無数のドラマが生じたはずでそれらも消し去っていいのか、と。簡単には答えはだせない。短絡的に考えてはいけない。短絡的な解決法にとびついてはいけない。そもそも短絡的にならなけらば”自分の種族以外は悪だから滅ぼす”という発想もないはずだからダーレクも違った存在になれていたかもしれない。カレド族はダーレクの研究は良い目的のためというダブロスの言葉を信じていたが、DNA実験や実験の結果生まれた"命”を失敗作する姿勢は命を軽んじていて、そこの倫理感から判断すればダブロスのいう”善”とは何か疑う機会はいくらでもあったかもしれない。はたして実際に自分が直面した時、そこを疑えるか、後に後悔することのないモラルを守り続けることができるか、謝った知識に踊らされてはいないか、フェイク・ニュースなどの話を聞いているとやはりその難しさを思い知る。そういったことをいろいろと考えさせられるお話で、今後ダーレクの見方も変わりそうだ。結局のところドクターは任務に失敗したと思えるのだが、ラストシーンでドクターがサラに語る言葉に、もしやこの任務は無駄ではなかったのだろうかと思わせてくれるくだりがある。

いろいろと深いなぁ、Doctor Who。

 

Doctor: Do I have the right?

Sarah: To destroy the Daleks? How can you possibly doubt it? You know what they'll become. 

Doctor: It isn't so simple, Sarah. The evil of the Daleks produced counterreactions of good. Many future worlds will stop warring among themselves, join in alliance to fight the Daleks. Suppose somebody who knew the future told you a certain child would grow up to be an evil dictator - could you then destroy that child?

Sarah: We're not talking about some imaginary child, Doctor, we're not talking about some imaginary child, Doctor, we're talking about the Daleks. The most evil creatures ever created. Complete your mission and destroy them. You must!

 

Sarah: Suppose it was a question of wiping out the bacteria that caused some terrible disease. You wouldn't hesitate then, would you?

Doctor: But if I wipe out a whole intelligent life-form, I'll be no better than the Daleks myself. I could destroy the Daleks, here and now. But do I have the right?

 

Doctor: Dissapointed, Sarah? No, not really. You see, although I know that Daleks will create havoc and destruction for untold thousands of years... I also know that out of their great evil... some... good... must come.

 

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