ドクター・フーで英語の壁殴り中

英国のSFドラマ”Doctor Who”の小説やオーディオドラマを攻略中

Doctor Who : Damaged Goods

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

Damaged Goods (Doctor Who)

Damaged Goods (Doctor Who)

 

あらすじ
20世紀のNYのレストランでくつろいでいたドクターとコンパニオンのクリスとロズ。ところが何か忘れている気がすると、ドクターは二人をつれて1980年代のロンドン、クアドラントの集合住宅へ。

 そこでベブ・タイラーという十代の少女と出会う。彼女は母親と兄のクリス、弟のガブリエルと4人で暮らしていた。ベブは4歳のクリスマス・イブの夜にドクターを見かけたというが、ドクターにその覚えはない。その頃、同じ集合住宅の住人のハリー・ハーベイは一夜の相手を求め公園に出かけていた。脈ありと思った相手は強盗で刺されてしまうが、その強盗はハリーの目の前で、何者かに引き裂かれ絶命する。その何者かとは焼身自殺したはずの麻薬の売人カッパーだった。

 

感想
ラッセル・T・デイヴィス氏が1996年に書いたDoctor Whoの小説ということで興味津々で読み始めた。とてもダークな設定であり、陰惨な展開であり凄惨な結末につきすすむ。7thドクターの物語だが、回収されそこなっていた古い戦争で使われたタイムロードのテクノロジー、N−Formが原因となり、とんだ悲劇を巻き起こす。ドクターの目的はN-Formが原因で巻き起こった事態を収拾し、回収・破壊することだ。
登場人物の一人一人のダークな感情が生々しく書き込まれており、リアルな閉塞感に息苦しさを感じるほどだった。事態はどんどんと悪化し、救いどころのない、タブーとも言えるような病んだ闇の感情をつきつけられ、畳み掛けるようにしてスプラッターな惨事が大規模展開する。すべてが終わった時、ドクターはそもそもの発端へとターディスで飛ぶ。そして黙ってそれが起こるのを目撃する。起こったことはすでに起こったこと。ほんの些細なことでのちにおこる大悲劇を回避し、大勢の命を救うことができるとわかっていてもドクターはそれをしない。それはとても静かに描かれる。干渉してはいけないのが鉄則。しかし、なにとははっきり言い表せない理不尽さ、もやもや感が胸に湧き上がってくる。ドクターが内に抱える闇の深さ、複雑さをあらためて見せつけられた気がした。

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