ドクター・フーで英語の壁殴り中

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Doctor Who: Scherzo

 ポール・マッギャン(Paul McGann)主演。8thドクターとチャーリー・ポラードの冒険。Doctor Who: ZAGREUSでこの宇宙とチャーリーを守るため別の宇宙に自らを追放したドクター。その続きの物語。

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www.timeywimey.work

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あらすじ

Part1

 時間の存在しない新しい宇宙でドクターはタイムロードの特有の知覚故に時間が存在しない感覚に慣れることが出来ず苦しんでいた。ターディスも存在意義を失い、もはや元の形を保てずにいた。チャーリーは懸命にドクターを励まし、2人でターディスの扉の外に出る。しかし、途端に眩しい光に包まれ、チャーリーもドクターも視界を失う。しかもターディスが去る音が聞こえ、チャーリーは動揺する。新しいを宇宙を探索することを選択したのだからと2人は歩きだす。

 ドクターはチャーリーに匂いも音も無の世界に対応できない身体が何かを感知しようと足掻いて錯覚を生み出している可能性が高いと説明。新しい宇宙には何も存在しない可能性もある。何一つ確かなことはなく、言えることは自分達がまだ生きているということだけだとドクター。

 すると再びターディスの音が聞こえ、チャーリーが走り出すが、何かに躓き転んでしまう。チャーリーはターディスの姿を見た気がするが、すぐに見えなくなってしまう。そして自分がつまずいたのが何か生き物の身体らしいとわかり驚く。すると助けて欲しいという声がそこらじゅうから聴こえる。しかし正体を突き止める前に眩しい光によって再び視界を奪われてしまう。

 チャーリーは死んでいる生き物の正体を探そうと提案するがドクターはまったく乗ってこない。それどころか、もうすぐ自分達は消える運命だと言い出す。ここで意味なく死ぬ運命だと。死ぬとしても2人一緒だし、お互いがお互いに意味を与えあえばいいというチャーリーに、ドクターは1人で死にたかったという。こちらの世界にくる決断をした時は、自分はチャーリーと世界を救うために死ぬ、意味ある死を自分で選んだはずだった。ところがチャーリーもこちら側にきてしまい、ここにチャーリーを一人にすることはできないので死ぬこともできなくなったとドクター。チャーリーはあなたを愛しているからここに来たのにと傷つき、ドクターは失言だったと謝る。手と手をとりあって、取り敢えず歩きだす。

 

Part2

 何も見えず、感じるものもなく無言で歩き続けることが不安になったチャーリーは鼻歌を歌い出すが、すぐにドクターがやめて欲しいと言ってくる。だったら普通に会話して欲しいと訴えるチャーリーに、ドクターは自分の心音を数えて時間を測っていて、そのために集中しているとドクター。ドクターの計測によると既に32時間歩いているが、チャーリーは1時間半かそこらぐらいで、そんなに飲まず食わず休憩なしで歩き続けるなんて不可能だと反論するが、ドクターに指摘され、自分がまったく疲れていないことに気がつく。

 ドクターは二つの仮説をたてていた。1つは自分達は既にターディスの中で死んでいる。全ては幻想でしかない。2つめはこの宇宙の何かが自分達を生きさせようとしているというものだった。チャーリーは後者を信じたがるが、ドクターは懐疑的だ。2人が再び歩きはじめると、またチャーリーの鼻歌がきこえてくる。ドクターがやめて欲しいと言ったはずだというとチャーリーは歌ったのは自分ではないという。そこでドクターは閃きを得て、声に向かって話かけてみる。すると今までにチャーリーとドクターが発した言葉が無作為に返ってくる。ドクターは相手が言葉そのものに意味はなく音でコミュニケートをとろうとしていると推測するが、‘’あなたを愛してる“と言ったチャーリーの言葉が繰り返され、耐えきれなくなったチャーリーがやめてと叫ぶと、再び静まりかえってしまう。ドクターは、選ばれた言葉が感情的なものに絞られていることが興味深いと考察をはじめるが、チャーリーは“愛している”と言ったことに対して何の返事もしてくれないドクターに苛立ちを覚える。しかし、何も存在しない世界では“愛している”という言葉も何の意味も持たないと素気無い。ついにチャーリーは触覚も失い、ドクターと手を繋いでいるはずなのに感じなくなり、残った知覚は聴覚のみと

ドクターに告げる。

 2人はまた歩きだす。ドクターはなぜ音で自分達に接触してきたのか、そこにどんな目的があるのか好奇心が出てきたといい、ただこの感情は無に耐えられない脳が生み出したものに過ぎない可能性もあり、好奇心のまま追うべきか、この感情を無視するべきかとチャーリーに問いかける。するとまた歌声と笑い声が聞こえ、光が薄れてくる。と、突然チャーリーがひどい疲労感に見舞われ、倒れる。感覚がもどったせいだと、ドクターはチャーリーに休むよういい、1人で少し歩いてみるが、また屍体をみつける。ターディスの音がきこえたかと思うと何かがドクターの首に噛み付いてきた。しかし、チャーリーが歌うとあたりは静まりかえる。再び感覚が麻痺し、チャーリーの疲労感も消える。しかし、感じないからといって、飢えていないわけでも餓死しないわけでもないと、ドクターはこれが唯一の食料だと屍を食べるようチャーリーにいう。

 

Part3

 屍が食事としてコンスタントに出現するようになって2週間たっていた。最初は気持ち悪かったが、今では1日に一度起こるこの時間が楽しみですらあるとチャーリーは言う。このルーティンにすっかり馴染み、ここに来て良かったと思えてきたとチャーリーがいうと、ドクターは自分達は奴隷のようなものだという。痛みや悲しみ怒りを忘れてはいけないとドクター。

 かすかにターディスの音が聞こえたかと思うと、チャーリーは今度は自分がドクターの手を離せないことに気がつく。2人の手は癒着しつつあった。ドクターはこれはこの無の世界で2人がお互いに離れられないことから起こった進化だといい、チャーリーを落ち着かせようとする。チャーリーと繋がったためにチャーリーの恐れはドクターにも影響及ぼすからだ。ドクターは手を離そうとするのではなく押してみたらどうだろうと、試してみる。すると2人の体の癒着がすすみ、感覚を分け合ったおかげなのか、視界が戻ってくる。

 ドクターはこれまで歩き続けていたのがリングの中であり同じ道をグルグルと回り続け、同じ屍に遭遇しては食べるということを続けていたと知り、ついに感情を爆発させる。ドクターはチャーリーを愛し、チャーリーの人生のために自分が犠牲になることを喜んで受け入れたのに、チャーリーがここついて来てしまっては、自分は無駄に死んだことになる。チャーリー行為は裏切りだとチャーリーをなじる。チャーリーは自分のために命を投げ出した人を1人にさせることなんてできないと、ドクターが自分を本当に愛してくれているなら、そうせざるを得なかった自分の気持ちがわかるはずだと言い返すと、だとしたら愛に意味はないとドクターはいう。

 再び食事の時間となり屍を食べようとするが今度はその屍はエイリアンではなくチャーリーの姿をしていた。チャーリーはこれはきっと自分の娘で食べることはできないと、屍を食べさせたドクターを責める。すると再びターディスのような音が聴こえる。ドクターはこの音を発する何かの目的を探るため自分の足を刺せとチャーリーに言う。チャーリーがドクターを刺した途端凄まじい音の渦に巻き込まれる。

Part4

 ドクターは無の世界に自分達が来たことにより生まれた何かは”音“を母乳として成長している。攻撃してくるのは自分達から母乳である”音“を得るためだと推測。しかし、食料である屍が突如崩れだし、チリと化す。進化のペースについていけず、その何かが滅びかけていると悟ったドクターは生き延びるためには更なる進化が必要と2人はさらに融合する。

 次にチャーリーが意識を取り戻した時実家の子供部屋にいた。ドクターが現れ、チャーリーを母だと言い、自分は娘のシャーロットで、今日が16歳の誕生日だという。チャーリーは代々受け継げられているブローチをプレゼントする。

 一方、ドクターはターディスの中に戻っていた。チャーリーに死んで欲しいと言われる。このチャーリーとチャーリーの娘といったドクターの正体は音の化け物だった。また世界やチャーリーのために死ねるかと尋ねられ、ドクターはチャーリーを愛しているからチャーリーのためならまた死ねるという。しかしドクターと融合したチャーリーがドクターが自分の犠牲になることを拒み自分が死ぬという。2人から拒まれ音の化け物は消滅する。

 

感想

 なかなか凄まじい話だったような気がする。今回はチャーリーとドクターのみでドラマは展開するのだが、前回最高潮に通じ合った2人の関係がドクターが本音を吐露していくなかでどんどんと身も蓋もないものになっていく。

 そもそも何千年も生きるタイムロードが100年そこらしか生きられない人間を友としたがるのか。それは死を常に意識するためだという。忘れそうになるがタイムロードも不死ではないということを常に覚えておくためとドクターはいう。

 世界のため、チャーリーのために命を投げ出せるドクターだが、自分の存在が意味なく消滅するのは耐えられない。自分の犠牲によってチャーリーが今後安全に人生を歩めるなら、それは意味ある死で、喜んで受け入れられるが、チャーリーがそれを打ち壊してしまった。しかし、チャーリーがドクターについてきたのはドクターを愛しているが故だ。最終的には、結局は同じことをするだろうという結論に達する2人。

 お互いがお互いを愛している気持ちに間違いもゆるぎもない。それが確認できたのにどこか寒々しいのはなぜだろう。

 2人は手と手をとりあって新しい宇宙を探求することに決める。まだターディスは失われている。何もわからないとためらうドクターにチャーリーは自分の手をとらせる。元のように戻れないことはチャーリーも理解している。それでも無でしかない新しい宇宙に2人は踏み出していく。人生とはそんなもの。先のことは分からず、いつ死ぬかもわからない。それがチャーリーにとっては、人間にとっては当たり前すぎることなので、この未知の世界に対してタイムロードであるドクターよりもチャーリーの方が強く逞しくいられるということなのか。

 ドクターは新しい宇宙を全て自分の思い通りにすることも可能だということにも気がついたが、チャーリーがその道を拒み、ドクターもチャーリーのために、ちっぽけな存在のために全てを諦める。それができるドクターが好きだとチャーリーはいう。確かに言われてみれば、そこがドクターのかっこいいところなんだけど…何か釈然としない。やっぱり寒々しいというか、前回あんなにもキラキラして見えていたものが全て色も熱も失ってしまったような感覚。愛を貫いた結果得られるのがこれなら、愛なんて無意味と言いたくなるドクターの気持ちもわからなくはない。

 このまま新しい宇宙で2人の冒険が始動するならどういう未来が待っているのか全く想像できない。この先の2人の関係も気になるところだ。

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

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