ドクター・フーで英語の壁殴り中

英国のSFドラマ”Doctor Who”の小説やオーディオドラマを攻略中

Doctor Who : The War Master - Only The Good (disc 4 The Heavenly Paradigm)

⭐️⭐️⭐️⭐️

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 あらすじ

戦争を終わらせると宣言し、1970年の英国にコールと共に訪れたマスター。そのためにタイムロードが隠した兵器を手に入れるためマリーゴールド・レーンの24番地へ向かう。

 極々普通の平和な住宅街だったが、とある家にマスターとコールが入ろうとした途端に自動警備システムが作動。どうにか扉開け、コールを先に行かせるマスター。2人が入ったのはただの家ではなくタイムロードの隠し保管庫だった。マスターとコールが中を探っていると家主のミセス・ウィルソンが現れ、2人にお茶とお菓子を振る舞う。ウィルソンの友好的な雰囲気にすっかり気をゆるしたコールは出されたお茶を飲むが、ほどなく眠ってしまう。お茶に薬が仕込まれていることを見抜いていたマスターは当然のことながらお茶には口をつけていなかった。ウィルソンはお茶に薬が入っていることを知りながらなぜコールに忠告しなかったのかと不審がる。そこでマスターはここに来た目的はタイム・ウォーを終わらせるためだと明かす。このまま戦争が続けば世界は破滅。良くてもタイムロードとダーレクも共倒れの未来しかない。しかし、”至高のパラダイム”というタイムラインを分析し、重要ポイントで常に誰にとっても最善と思われる選択を選ばすことのできる装置を使えばたタイム・ウォーを即座に終わらせることができるとマスターは説明するが、マスターの正体を知るウィルソンは信用せず、セキュリティコンピューターに命じ、マスターを止めようとするが、しかし、その時には既にマスターがコンピューターの管理権を掌握しており、コンピューターによるマスターへの攻撃は不可能となっていた。コールが意識を取り戻した時、ウィルソンと共に“至高のパラダイム”に繋がれていた。全てはマスターの仕業ときいても、コールはまだマスターの善意を疑っていなかった。"至高のパラダイム”は本来ダーレクを対象に使われる予定だったが、それを実行するだけのエネルギーが確保できないという致命的な欠陥を抱えていた。しかし、マスターはそのエネルギーをコールで補おうとしていた。コールは死ぬはずの運命だったところをマスターに救われたパラドックス的存在。そしてコールは平和だった農村の住民たちを疫病から救うためにメタルスーツを開発。メタルスーズの中で生き延びた住人たちは変貌し、新しい種族となって既にいくつもの世界を滅ぼしている。そのパラドックスを作り出したコールという存在には"至高のパラダイム”を作動させるのに十分なエネルギーがあるとマスターは考えていた。自分の命と引き換えに装置を作動させようとしているマスターにコールはショックを受けるが、何を犠牲にしてもこの戦争を終わらせるべきと先に言ったのはコール自身と取り合わず、マスターは装置を作動させる。しかも、マスターはダーレクだけではなく自分を除く宇宙の存在すべてのタイムラインを操ろうとしていた。

 

感想

マスターとドクターの決定的な違いは情のあるなしなのかなと。目の前の相手にシンパシーを抱けるかどうか、情をかけられるかどうか。マスターもドクターのように相手に共感し、情をかけることもできるように見えるが、むしろ、”という風な考え方もある”ということは知っているというだけで、それがマスターを左右することは一切ないという感じ。ドクターは、そこに大きく左右されるだけに結果的にその下した判断が非道であろうとも大きく苦しむことになる。その部分で苦しむドクターのことをマスターは愚かだと見下していて、ところがその愚かなドクターが自分に匹敵する頭の良さを発揮するものだから余計に腹立たしく、目障りであり、ドクターにその愚かさを思い知らせてやらずにはいられない...とか思っているのかもしれない。

マスターによってひどいめにあわされているのはドクターだけではないんだなぁということを改めて。マスターはひどいことしかしないが、なんというかドクターが特に嫌がらせを受けているというイメージをなんとなく抱いていたのだけれど、マスターにひどいめにあわされても生き残っているのがドクターだけなのだなと。マスターと関わり合って無事でいられることの方がレアケースなのだと今回のドラマを通して思い知ったような気がする。しかもこれだけひどい目にあっていてもドクターは根っこの部分でマスターへの友愛が捨てきれずにいるわけだから、何気にドクターの方が懲りない性分なのかもしれない。The War Masterシリーズはどの話でもドクターとマスターの違いとはなんだろうと考えさせられた。時にマスターのしていることはまさにドクターのすることだ。人助けなどよいことでドクターを彷彿とさせられる分にはいい。ただ、マスターが独善に走る時もドクターを彷彿とさせる部分が幾度もあり、その部分では実に冷やり冷やりとさせられる。紙一重と思えたり、やはり全然違うと思えたり。収録されている4話ともその点をつっついてくるのがとても巧みだった。加えて、ドクターがいつもマスターに対して抱いているであろう残念感や悔しさみたいなものも味わえる、本当に絶妙なタイミングでの裏切り。どうしてそこで、なぜそこで。腹立たしいというよりはむしろ悲しい。とても悲しくなってくる。

最終話「The Heavenly Paradigm」のラストは「Utopia」への伏線となり、マスターが装置を使った結果どうなったかは「The Sound of Drums」のドクターとマスターの電話の会話の中でふれられる。これを聴いてからあのシーンを見るとまた少し違った印象に見えてくるのも面白い。

Doctor Who - The War Master Series 1 (Doctor Who - The War Doctor)

Doctor Who - The War Master Series 1 (Doctor Who - The War Doctor)

  • 作者: Nicholas Briggs,Janine H. Jones,James Goss,Guy Adams,Peter Doggart,Ioan Morris,Stuart Manning,Derek Jacobi
  • 出版社/メーカー: Big Finish Productions Ltd
  • 発売日: 2018/02/28
  • メディア: CD
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