ドクター・フーで英語の壁殴り中

英国のSFドラマ”Doctor Who”の小説やオーディオドラマを攻略中

Doctor Who : The Siege of Big Ben

ジャッキー・タイラー(Jackie Tyler)役のカミーユ・コデュリ(Camille Coduri)が朗読。デイヴィッド・テナント (David Tennant) 演じる10代目ドクターの腕から生まれたメタクライシス・ドクターのお話。

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あらすじ

ピートの世界で暮らすジャッキー・タイラー。ピートはUNITのキャプテン。ローズもドクターもアドバイザーとしてUNITに所属しており、ジャッキーも子育てをしながらUNITの基地の食堂で働いていた。

 

ある日、ピートとローズと共にUNITのメンバーが任務のため出払っていた時、ビッグベンの基地がエイリアンに攻撃される。基地に残っているのはジャッキーとドクターのみだった。非常サイレンが鳴り響く中、ドクターがエイリアンからの攻撃にエキサイトしているのを見て、ジャッキーは不安を覚える。

 感想

ローズとピートの世界に残ることになったドクターがその後どうなったのか、そんな話が短編でもいいからあればいいのにとずーっと思っていたところ、ついに我らがBigfinishさんが!!しかも語り手はジャッキー・タイラー役のカミュー・コデリュさん!どう転んでも面白いこと間違い無しの新作。30分に満たない短編だが、その仕上がりが期待値を遥かに上回っていたことがとにかく嬉しい。

 ジャッキーが飲み友だちのベロにワインを飲みながら“事件”について話すという形態で物語は進んでいく。コミカルなものになるかと予想していたが、ジャッキーの口から語られるピートの世界に来たドクターの様子はかなり痛々しく、聴いていくうちにどんどん切ない気持ちにさせられた。

 ジャッキー自身、このピートの世界で生きていくしかない現実を前向きに受け入れようと懸命に努力している状態で、決してhappy ever afterなだけな生活が待っていたわけではなかったとわかる。

 今回は詳しく語られることはなかったけれどもきっとローズもそうだし、二人を家族として受け入れたピートもおそらくなんらかの葛藤があるはずだ。つまり、ピートの世界で新しい現実を受け入れる努力を強いられているはドクターだけではない。ところがジャッキーの口から語られるドクターの様子からすると思った以上に順応することに苦労していそうだ。しかもドクターはドクターでもやはり実際のドクターとは違う。その違いを感じるたびにジャッキーにはどんどんとこちらのドクターが受け入れ難くなっていくようだ。ジャッキーもこのドクターがローズと生きることを選び、ローズを心から大切に思っていることは疑ってはいない。しかし、あのドクターが心臓が一つになって限られた寿命しかもたなくなったからといって、一ヶ所に留まり続ける生活に耐えられるかどうかは確かに疑わしい。ローズが好きでも簡単に馴染めるはずもないだろう。しかし、まさかターディスを作りかけていたとは.驚きというか、結構ショッキングだ。さらにオリジナルのドクターとちがって好戦的で自殺願望があるのかとジャッキーが疑うような無謀な振る舞いもするらしい。今回も相手に対して2度目のチャンスを与えない。相手にシンパシーを見せることなく、あっさりと断罪する。そこがジャッキーには耐えられないようだ。「私が好きだったドクターはもういない。正直、今のドクターのことは好きじゃない」という言葉がジャッキーの口から出てきたときは本当に胸が痛かった。こんな調子ではたしてローズとうまくいっているのかと心配にもなってくる。

とはいえ、ほんのすこし希望が見えなかったわけでもない。戦いの最中、ジャッキーの言葉に反応してジャッキーが知っているドクターらしさをみせることもある。難しいかもしれないが、思いやりのあるあのジャッキーが大好きだったドクターのようになれる要素は確実にあるのだ。それに、オリジナルのドクターと違ってこちらのドクターは1人ぼっちではない。タイラー家が側についている。ローズが側にいる。そのことは大きい。ドクターによって自分やローズがいい方向に変われたように、このドクターももしかしたらいつかは...とジャッキーが想いを馳せる場面ある。そのためにはどうすればいいのか。その様子が今後描かれてることになるのかもしれないとそんな期待を抱かせてくれるエンディングにも大満足。少なくともあと1話、ピートの世界のドクター、メタ・クライシス・ドクターの話がリリースされることは確定している。今から楽しみでしかたがない。

 

私の好み度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5

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